【戸建ての浴室リフォーム】 ~ヒートショックの危険性、建物別の違い~
- リフォームコラム
戸建て住宅で経年劣化したお風呂を、暖かいユニットバスへリフォームされたい方によくご依頼いただきます。
ご相談をいただく中で、「戸建てならではの注意点はあるか」といったご質問もあります。
具体的に戸建て住宅の浴室の特徴を見て行くと、ユニットバスへのリフォームが必要な理由が分かります。
こちらのページでは、浴室リフォームを戸建て住宅でされる場合のポイントや、戸建てやマンションなどの建物による違いをご紹介します。
ぜひ浴室リフォームの参考にされてみてください。
目次
古い浴室は在来工法が多い
戸建てのお住まいは、築30年以上ですと浴室が在来工法である場合が多いです。
もともとは高度成長期の1950年頃から一般家庭にお風呂が普及した際に、大工や施工職人がタイルを張って防水加工をしたスペースに浴槽を設置するお風呂を作ったのがはじまりです。
ここから東京オリンピックの際に、ホテルニューオータニで内装工事を簡易的にした浴室が考えられ、現在のユニットバスの原型と呼べるものが採用されていきました。
今では安く短い工期で、暖かく汚れにくいお風呂が出来ることでユニットバスが普及しています。
在来工法の浴室自体はメリットも沢山あります。
ユニットバスの様に決まったサイズではなく、こだわりを持って天井から壁、床、浴槽の大きさなども自由に設計することができます。
材質もタイル張りだけでなく大理石やヒノキなどの高級資材を使い、贅沢な浴室を作ることも可能です。
見た目だけでなく、バリアフリー設計として車いすの高さに合わせて浴槽・洗い場などを設計することもできます。
しかしながら、古いお住まいの在来工法の浴室は、当時の技術で一般的な入浴が出来るお風呂として作られている場合が多いのです。
施工時に浴室の下地にコンクリートを使用するため熱伝導率が高くなってしまい、冬はこの床から芯まで凍えるような冷たさを感じます。
また、タイル張りの床や壁はヒビ割れで内部を腐らせてしまったり、カビの付着でお手入れに時間がかかる・落ちにくいことでどんどん汚れが溜まってしまうという欠点もあります。
最新のユニットバスであれば、この様な寒さやお手入れの手間が解消されています。
我慢して使用していた浴室が、本来の日々の疲れを癒す快適なお風呂に生まれ変わります。
保温機能やシャワー設備の進化で光熱費の削減もされているので、家計にもメリットがあると言えます。
一戸建ての浴室にユニットバスをおすすめする理由
歴史ある在来工法のお風呂リフォームには、多くの危険が潜んでいます。
ナガサカ建窓がユニットバスへのリフォームをオススメする理由を、さらに深堀していきます。
冷たいお風呂場は危険?~ヒートショック~
ヒートショックという言葉を耳にされたことはあるでしょうか。
年間の死亡事故原因では、 実は交通事故の5倍以上が浴室で起きていると言われています。
特に60歳以上の高齢者や心臓病を患っている方にとっては在来工法の底冷えする浴室のままにしておくことは命の危険につながります。
そもそもヒートショックとは、温度変化により血管や心臓に負担がかかり、脳梗塞や心疾患に繋がる事象です。
冬場の暖かいリビングなどから寒い廊下・脱衣所に移動し、同じく底冷えしているお風呂場から熱い湯船に浸かった際に起こるケースが多いです。
このヒートショックは断熱効果の高いユニットバスへのリフォームや、浴室暖房機などの設置でリスクを軽減することが出来るので、 特に寒い地方の在来工法の浴室はユニットバスへのリフォームをおすすめしています。
昨今のユニットバスは進化が目覚ましく、 お湯を張ってから4時間経過してもほぼ温度が変わらずに、ご家族最後の1人まで暖かいお湯に浸かれる湯船なども開発されています。
「冬だけ我慢すれば良い」「長湯せずにさっと出るから大丈夫」とお考えの場合でも、ヒートショックは季節・時間・戸建てやマンション問わず起こる可能性があるので、ご注意ください。
在来工法のお風呂は危険?~タイル張りの床~
戸建ての古い浴室は壁だけでなく、床もタイル張りのご家庭が多いです。
このタイルが底冷えするのですが、 材質として耐久性と防水性に優れているので在来工法の浴室で使われてきました。
しかしながら、このタイルは水にぬれると滑りやすく、高齢者や子供は転倒のリスクが高くなります。
また、経年劣化などでタイルが破損した場合は、隙間から水が入り戸建ての床下・内部を傷めることもあります。
入りにくい・出づらいが危険?~入浴時の段差~
在来工法では脱衣所の床と浴室の入り口に約10㎝の段差があることが多く、 また浴槽自体も深く入りにくいお風呂が多いです。
体が不自由になってくるとちょっとした段差で手足を滑らせて転倒したり、体を打ってしまったりすることも...。
入浴時に介助が必要な場合は、この様な在来工法の浴室では対応できないこともあります。
一般的なユニットバスは洗面所や脱衣スペースとの段差は数cmからほぼ0、浴槽は40cm程度と入浴しやすい高さで作られています。
オプションで手すりを付けるのも容易なので、出入りに負担がないお風呂にリフォームすることができます。
タイル張りを残したまま浴室リフォーム
ユニットバスへリフォームする利点をご紹介してきましたが、在来工法の浴室の形式で部分的にリフォームする方法は無いのでしょうか。
在来工法のタイル張りの趣を好まれるお客様もいらっしゃると思います。
その場合は、お風呂をまるごとリフォームするのではなく、 浴槽を高断熱仕様のものにリフォームする、タイル床・壁の破損を張り替えて修理する、床は防水シートに張替える、などの施工をご検討されるのが良いでしょう。
浴槽だけ取り換える場合は、既存の浴槽本体と囲っているコンクリートを解体し、新しい浴槽を設置します。
丁寧な防水処理と周辺の壁と床の張り直しを行い完了となります。
浴槽だけではありますが、在来工法の浴室の形状次第ではユニットバスにまるごと交換するよりも費用がかかるケースがあります。
タイル張りの床に防水シートを張って、暖かさやお手入れしやすいお風呂場へリフォームする際は、浴室専用の防水シートを使います。
冷たさの軽減だけでなく、転倒時の衝撃を吸収するクッション性を持った製品もあります。
防水シートを張るだけということでDIY可能と謡っているWEBサイトもありますが、防水シートの下になるタイル床の破損を放置したまま施工すると、床下内部の劣化に繋がるので注意が必要です。
建物別(マンションやアパート、戸建て)の浴室リフォームの違い
戸建て住宅の浴室の特徴として在来工法の浴室についてご紹介してきました。
では、ほかにもマンションやアパートと戸建て住宅のお風呂に違い、リフォーム時に気を付けるポイントはあるのでしょうか。
お風呂のサイズ
戸建て住宅向けのサイズ
一軒家への設置のために用意されているユニットバスのサイズは、マンションやアパート向けのものよりも大きめの規格が対応されています。
1坪の160cm×160cmサイズの1616、
1.5坪の180cm×180cmサイズである1:1の比率の大きさは戸建て住宅向けのサイズです。
アパート・マンション向けのサイズ
小規模アパートやマンションは住まいの広さの関係上、140cm×180cmの1418、160cm×200cmの1620などの横幅のあるユニットバスの規格が多いです。
洗い場のスペースを、より広く取りたいご家族でご入浴される方には好まれるサイズです。
戸建ては各メーカーでサイズの用意が豊富ですが、アパート・マンション向けの1418などでは希望の商品が無いこともあります。
ご指定の商品が無い場合は、浴室をリフォームされたいお悩みにフォーカスしてご提案いたしますのでご安心くださいませ。
お風呂リフォーム費用
TOTOやリクシル、クリナップ、Panasonicなどユニットバスのリフォーム商品を用意しているメーカーには、戸建てとマンションの仕様を分けているシリーズがあります。
設備の性能に違いはありませんが、マンションやアパートは建物の都合上天井の高さ制限があるので、各パーツのサイズ調整などがされています。
その分商品価格が1~5%程度、相場が上がる商品もあるので商品選びの際は気を付けて見ると良いでしょう。
戸建て住宅にお住まいの方向けの浴室リフォームポイントをご紹介しました。いかがでしたでしょうか。
ホームページでは、多数の施工事例を掲載しています。ぜひこちらからご覧くださいませ。